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ITスキル標準(ITSS)については、22章で説明しましたが、各種IT関連サービスの提供に必要とされる知識やスキルを体系化した指標であり、産学におけるITサービス・プロフェッショナルの教育・訓練などに有用な「ものさし」(共通枠組)を提供しようとするものです。
ITスキル標準は、11の職種と35の専門分野を設け、それぞれの専門分野に対応して、各個人の能力や実績に基づく7段階の達成レベルを規定しています。
「ITスキル標準モデルカリキュラム」は、ITスキル標準のレベル1~3を目指す人向けのカリキュラムとしてIPAから公開されているものですが、ここではレベル1向けのモデルカリキュラムを紹介します。
このカリキュラムは、職業人として備えておくべき、情報技術に関する共通的な基礎知識を修得することを目指す社会人や学生を対象としたカリキュラムであり、研修ロードマップをもとに、具体的な研修コースを設計・実施する際に参考となる情報がまとめられています。このモデルカリキュラムを履修することにより、ITスキル標準のレベル1に相当する知識を修得することができます。
ITスキル標準モデルカリキュラムの構成

図.101 「ITスキル標準モデルカリキュラムの構成」
(出典) IPA「ITスキル標準モデルカリキュラム-レベル1を目指して-」をもとに作成
ITスキル標準のレベル1モデルカリキュラム(科目概要一覧)
| 対象人材 | ①本格的な就業経験のない学生
②ITに関する基本的な知識を持たない社会人 |
| 対象場面 | ①企業:IT系企業を含め企業などの内定者の入社前研修など
②教育機関:情報系、非情報系のすべての学部、学科における教育。ただし、情報系専門学科においては一般教養課程における教育 |
| 特徴 | ⚫︎ 特定の製品や分野に偏らない知識と体系的なパーソナルスキルを修得できます。
⚫︎ ITパスポート試験の出題範囲と整合し、科目およびコマシラバスごとに知識項目との対応が明らかになっているので、「ITパスポート試験(レベル1)シラバス」と併用することでより一層の研修効果を図ることができます。 |
このカリキュラムでは「IT基本1」コース群に含まれるコース「IT入門」と「パーソナルスキル入門」に対応する科目が策定されています。
| 科目名 | 概要 | 受講対象者/
受講前提 |
構成 | 時間 |
| IT入門(1) | 「IT基本1」コース群の1つとして、ストラテジおよびマネジメント分野の基本的かつ普遍的な知識の修得を目的とする。
具体的には、企業における経営戦略と担当業務の関連、システム開発のライフサイクル、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメントおよびシステム監査などの知識を学習する。 |
ITスキル標準のレベル1を目指す者/前提科目は特にないが、高校卒業程度の知識を有していること | 90分×15回 | 22.5h |
| IT入門(2) | 「IT基本1」コース群の1つとして、テクノロジ分野の基本的な知識の修得を目的とする。具体的には、情報のデジタル化とアルゴリズム、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、データベースおよびセキュリティに関する基本的な知識を学習する。 | ITスキル標準のレベル1を目指す者/「IT入門(1)」を修了していること、または同等の知識を有していること | 90分×15回 | 22.5h |
| パーソナルスキル入門 | パーソナルの領域に関して職業人として基本的な要件である、チームワークに基づくリーダーシップ、コミュニケーションの基本(書く、話す、聞く、考える)、プレゼンテーションの基本、論理展開(問題解決)法の基本、基本的なビジネスマナー、更にITを活用する上で求められるパーソナルスキルの概要などを学習する。 | ITスキル標準のレベル1を目指す者/前提科目は特にないが、高校卒業程度の知識を有していること | 90分×15回 | 22.5h |
(出典) IPA「ITスキル標準モデルカリキュラム-レベル1を目指して-」をもとに作成
IT入門(1)
科目シラバス
| 科目 | IT入門(1) | |||
| 職種 | 職種共通 | |||
| レベル区分(対象者) | ITスキル標準のレベル1を目指す者 | |||
| 受講前提 | 前提科目は特にないが、高校卒業程度の知識を有すること | |||
| 学習目標 | 職業人としてIT(情報技術)の基本的な知識を活用し、上位者の指導の下、業務の分析と解決およびシステム化の支援を行うことができる | |||
| 研修・教育方法 | 講義、演習 | |||
| 修得スキル
の評価方法 |
講義終了後の受講レポート、定量アンケート、知識確認テスト、演習問題の取組状況を総合的に判断して評価を行う | |||
| カリキュラム構成 | 1コマ90分×15回(総時間:22.5時間) | |||
| 知識項目分類 | 【分野】ストラテジ系 | |||
| 【大分類】 | 1.企業と法務 | 【中分類】 | 1企業活動 | |
| 2法務 | ||||
| 2.経営戦略 | 【中分類】 | 3経営戦略マネジメント | ||
| 4技術戦略マネジメント | ||||
| 5ビジネスインダストリ | ||||
| 3.システム戦略 | 【中分類】 | 6システム戦略 | ||
| 7システム企画 | ||||
| 【分野】マネジメント系 | ||||
| 【大分類】 | 4開発技術 | 【中分類】 | 8システム開発技術 | |
| 9ソフトウェア開発技術 | ||||
| 5プロジェクトマネジメント | 【中分類】 | 10プロジェクトマネジメント | ||
| 6サービスマネジメント | 【中分類】 | 11サービスマネジメント | ||
| 12システム監査 | ||||
(出典) IPA「ITスキル標準モデルカリキュラム-レベル1を目指して-」をもとに作成
コマタイトルの例については、「付録:ITスキル標準レベル1 コマタイトル一覧」に記載しています。
IT入門(2)
科目シラバス
| 科目 | IT入門(2) | |||
| 職種 | 職種共通 | |||
| レベル区分(対象者) | ITスキル標準のレベル1を目指す者 | |||
| 受講前提 | 「IT入門(1)」を修了していること、また同等の知識を有していること | |||
| 学習目標 | 職業人としてIT(情報技術)の基本的な知識を活用し、上位者の指導の下、業務の分析やシステム化の支援や情報の活用ができる | |||
| 研修・
教育方法 |
講義、演習 | |||
| 修得スキル
の評価方法 |
講義終了後の受講レポート、定量アンケート、知識確認テスト、演習問題の取組状況を総合的に判断して評価を行う | |||
| カリキュラム構成 | 1コマ90分×15回(総時間:22.5時間) | |||
| 知識項目分類 | 【分野】テクノロジ系 | |||
| 【大分類】 | 7基礎理論 | 【中分類】 | 13基礎理論 | |
| 14アルゴリズムとプログラミング | ||||
| 8コンピュータシステム | 【中分類】 | 15コンピュータ構成要素 | ||
| 16システム構成要素 | ||||
| 17ソフトウェア | ||||
| 18ハードウェア | ||||
| 9技術要素 | 【中分類】 | 19ヒューマンインタフェース | ||
| 20マルチメディア | ||||
| 21データベース | ||||
| 22ネットワーク | ||||
| 23セキュリティ | ||||
(出典) IPA「ITスキル標準モデルカリキュラム-レベル1を目指して-」をもとに作成
コマタイトルの例については、「付録:ITスキル標準レベル1 コマタイトル一覧」に記載しています。
パーソナルスキル入門
科目シラバス
| 科目 | パーソナルスキル入門 |
| 職種 | 職種共通 |
| レベル区分(対象者) | ITスキル標準のレベル1を目指す者 |
| 受講前提 | 前提科目は特にないが、高校卒業程度の知識を有していること |
| 学習目標 | 職業人としての基本的なパーソナルスキルの知識を活用し、上位者の
指導の下、チームメンバーとして、業務活動に参加することができる |
| 研修・
教育方法 |
講義、グループ演習 |
| 修得スキル
の評価方法 |
講義終了後の受講レポート、定量アンケート、知識確認テスト、演習問題の取組状況を総合的に判断して評価を行う |
| カリキュラム構成 | 1コマ90分×15回(総時間:22.5時間) |
(出典) IPA「ITスキル標準モデルカリキュラム-レベル1を目指して-」をもとに作成
コマタイトルの例については、「付録:ITスキル標準レベル1 コマタイトル一覧」に記載しています。
| 詳細理解のため参考となる文献(参考文献) | |
| ITスキル標準とは -ものさしとしてのスキル標準 | https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/itss2.html |
| ITスキル標準モデルカリキュラム-レベル1を目指して- | https://www.ipa.go.jp/archive/jinzai/skill-standard/itss/qv6pgp000000buc8-att/000024802.pdf |