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6-1. これからの企業経営で必要な観点:社会の動向
6-2. 守りのIT投資と攻めのIT投資
6-3. 経営投資としてのサイバーセキュリティ対策
| 章の目的 |
| 第6章では、これからの企業経営に必要な観点として、社会の動向、「守りのIT投資」や「攻めのIT投資」などのIT投資について学ぶことを目的とします。また、経営投資としてのセキュリティ対策の重要性を明確にすることを目的とします。 |
| 主な達成目標 |
| ⚫︎ 社会の動向を把握し、現実社会とサイバー空間のつながりを理解すること
⚫︎ IT投資としての「守りのIT投資」と「攻めのIT投資」を理解すること ⚫︎ 経営投資としてのセキュリティ対策の重要性を理解すること |
| 主なキーワード
守りのIT投資、攻めのIT投資 |
6章の全体概要
6章では、社会の動向を踏まえ、企業がセキュリティ対策と同時に進めるべきIT活用について説明しています。従来の業務効率化やコスト削減といった「守りのIT投資」と、DXに向けた「攻めのIT投資」の違いやそれぞれの特徴、主要なデジタル技術の活用方法について簡潔に紹介しています。特に日本企業には「攻めのIT投資」が不足しており、DXの推進を通じて競争力を強化することが必要だと言われています。
DX推進と同時に、適切なセキュリティ対策をとる必要があることを鑑み、経営者主体のサイバーセキュリティ対策の必要性とその要点についても解説しています。
6-1.これからの企業経営で必要な観点:社会の動向
社会の動向や、現実社会とサイバー空間のつながり、IT活用における課題を説明しています。
現実社会とサイバー空間のつながり
個人のインターネット利用率は1997年の9.2%から令和5年には86.2%まで上昇し、情報入手やオンラインショッピング、SNSによる情報共有が日常化しています。政府は、サイバー空間とフィジカル空間の融合による新しい社会モデルとしてSociety5.0を提唱しており、企業は生産性向上や課題解決のために現実空間とサイバー空間をつなぐCPS(サイバーフィジカルシステム)やIoTの活用が不可欠となってきています。
IT活用における課題
日本社会がデジタル化で後れをとった理由は次の6つです。
| 我が国がデジタル化で後れをとった6つの理由 |
| 1. ICT投資の低迷
2. 業務改革等を伴わないICT投資 3. ICT人材の不足・偏在 4. 過去の成功体験 5. デジタル化への不安感・抵抗感 6. デジタルリテラシーが十分ではない |
6-2. 守りのIT投資と攻めのIT投資
守りのIT投資と攻めのIT投資
「攻めのIT投資」では、ITを活用して既存のビジネスの変革、新たな事業展開や新しいビジネスモデルの創出を行うことによって、新規市場の創出、収益拡大、販売力のアップを目指します。一方、「守りのIT投資」では、ITによる業務の効率化やコスト削減を目指します。この違いを意識し、「守りのIT投資」と「攻めのIT投資」のバランスをとることが大切です。

図114. 守りのIT投資・攻めのIT投資
次世代技術を活用したビジネス展開
自社の将来のあるべき姿(将来のビジョン)の実現に必要な課題を明確にし、その課題を解決する必要がありますが、それに役立つのがデジタル技術の活用です。最近では、生成AI、IoT、クラウドサービス、チャットボットなどの新しい技術がビジネスで活用されるようになってきており、こうした新しい技術を含めたさまざまな技術やツールをうまく活用していくことが求められています。6章ではデジタル技術の活用に成功した企業の例を紹介しています。
6-3. 経営投資としてのサイバーセキュリティ対策
DX推進と並行してサイバーセキュリティの確保に取り組むことが重要です。サイバーセキュリティ対策をおろそかにすれば、サイバー攻撃の標的となり、経営を揺るがすような被害にあう可能性があります。サイバーセキュリティ対策には経営判断が必要になるため、経営者がリーダーシップを発揮して対策を進める必要があります。経営者が重視すべきポイントは、次の3つです。
| ポイント①:ビジネスの継続・発展にはITの活用が不可欠
ポイント②:ITの活用にはサイバー攻撃への対策が必要 ポイント③:サイバーセキュリティ対策は経営者が自ら実行 |
章を通した気づき・学び
変化の激しい現代社会でビジネスを継続していくためには、従来のITを活用して業務効率化や生産を向上させることだけでなく、データやデジタル技術を活用して、顧客視点で新たな価値を創出する、DXを推進していくことが求められています。しかし、データやデジタル技術を活用する際に、サイバーセキュリティ対策を行わなければ、サイバー攻撃の標的となり、経営を揺るがすような被害を被ってしまう可能性があります。このような被害を受けないためにも、DXの推進と並行してサイバーセキュリティの確保に取り組むことが不可欠です。このサイバーセキュリティ対策は、経営者自らが主体となって指揮をする必要があります。
| 認識していただきたい実施概要 |
| ⚫︎ 現実社会とサイバー空間のつながりや、Society5.0などといった社会の動向を把握することが、これからの企業経営で必要な観点となること。
⚫︎ IT投資には「攻め」と「守り」があり、近年特に重要性が増している攻めのIT投資について理解し、取り組むことが重要であること。 ⚫︎ DXの推進に伴い、データやデジタル技術の活用が進む中、サイバー攻撃の被害を防ぐためには、同時にサイバーセキュリティ対策に取り組むことが重要であること。 |
| 詳細理解のため参考となる文献(参考文献) | |
| 情報通信白書令和7年版(総務省) | https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/pdf/00zentai.pdf |
| DX動向2025 | https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/tbl5kb0000001mn2-att/dx-trend-2025.pdf |
| 攻めのIT活用指針 | https://www.smrj.go.jp/supporter/tool/guidebook/guidebook1/fbrion000000206n-att/guide4youshiki_1.pdf |
| 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第3.1版 | https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/ug65p90000019cbk-att/000055520.pdf |